2006/08/13  小笠原旅行  2日目

父島上陸
 背中が痛くて目が覚めた。こんな狭いところで寝ているから・・。船はかなり激しく揺れている。 波が砕ける音が客室まで伝わってくる。 乗り物に弱い自分であるが頭がボーっとしているため「揺れ=気分悪い」という式が体の中で成り立たないようだ。 酔い止めの効果は絶大である。 さすがに食欲は無く揺れる船内でひたすら目をつぶっていた。 船は11時半父島二見港に到着予定だったが30分ほど遅れるとのアナウンスが入った。 父島からははじま丸に乗り換えてさらに2時間、50km南の母島を目指すわけだがアナウンスによると波のためははじま丸は条件付出航だそうだ。 条件付出航とは、波が強くて万が一途中で引き返しても文句を言わないでねということである。 今日中に母島に辿り着くか心配になってきた。
 12時、父島到着。 小笠原の青い空と灼熱の太陽が出迎えてくれる予定だったがそこには小雨混じりのどんよりとした雲しかなかった。 桟橋に降りると乗客は宿のスタッフに迎えられ次々と車に乗って消えていった。 自分の到着はまだこれから数時間後か・・母島は遠いな。


26時間の船旅を終え父島に上陸。

ははじま丸の動向を伝える貼り紙。

ははじま丸の待合所。

荒れた海をははじま丸がやってきた。


母島へ
 小雨の中ははじま丸が入港した。 低気圧が接近しているため時間を早めて出航とのことで貨物の入れ替えがせわしなく行われていた。 チケット窓口には条件付である旨を書いた貼り紙があった。 どうにか辿り着きますように・・。 船に乗り込むと真っ先に船底のカーペット席に向かう。 どうにか一人分横になるスペースが空いていた。
 昼1時過ぎに出航。 湾を出ると上下左右前後、3次元の揺れが始まった。 すげー、特に上下の揺れはジェットコースターそのものである。 始めは揺れるたびにキャーという女性の悲鳴が聞こえていたがそれもいつしか聞こえなくなった。 あちこちから悲しみに打ちひしがれる嗚咽(おえつ)が聞こえてくる・・、じゃなくて酔ってるのか(汗) 「もらい何とか」にならないように気をつけなくては。 努めて寝るようにした。
 3時過ぎに母島沖港入港のアナウンスが入った。 母島に無事上陸できる喜びと船を下りられる喜びの声が聞こえてくる。 タラップを降り迎えに来ていた車に荷物を乗せるとようやく到着した気分になった。 宿泊するユースホステルまでは港から歩いて3分程度。 黄色いカナディアンスタイルの建物である。 チェックインしたらしばらく休憩後、同じ船旅を乗り越えてきた数人と散歩に出かけた。


やっと母島が見えてきた。

母島上陸の瞬間。

宿泊する母島ユースホステルの外観。

港の前にある観光案内所。


ウミガメ放流
 情報収集のため港の前にある観光協会に立ち寄る。 とりあえず今日できることを聞いてみると、近くのダイビングショップで夜にウミガメの放流イベントがあることを教えてもらった。 貴重な体験であることは間違いないため早速予約を入れた。 夕食後、ダイビングショップに行く。 今日到着してユースに泊まる人は全員参加のようである。 ウミガメ保護を目的とするNGOが開催しているイベントで、自然環境維持への基金として参加費用1000円掛かる。 まずは講習会、ウミガメの特徴、現在おかれている状況などをプロジェクターを使ってわかりやすく説明してくれた。 カメの種類、分布、生態、産卵の方法などウミガメを保護しましょうという話の流れになっているのだが 突然カメをモリで突いてと言う話しが出てきた。 保護なのに殺してしまうのか?って話がつながらないな・・と思っていたらどうも食用にカメを獲る名人がいるらしい。 いきなり話がそれたため講習を受けていた全員が唖然としていた。 カメは海に漂うゴミを食べてしまうことがあり一匹のカメの腹から出てきたゴミのサンプルを見せられて驚いてしまった。 海はきれいにしないといけないな。 最後に昨晩生まれたばかりのウミガメを放流した。 いやぁ小っちゃくてかわいいらしい。 うろ〜んとした瞳、あまりの可愛さに一同表情が緩む。 手足をばたばたさせてるのを見ると背中のどこかにゼンマイ巻上げネジでも付いてそうな雰囲気である(笑) 浜辺まで子カメを持って行き一斉に放流した。 カメは習性で明るいほうに進むため母島でも港の街灯の配置に気を配っているとのことである。 無事に大きくなれよ〜。 放流の後、島に数軒ある飲み屋のうちの一つに行く。 母島の夜が更けていく。


ダイビングショップが講習会場。

一匹のカメの腹から出てきたゴミ。

なんといっても目が可愛い。

昨日生まれたカメたち。