2006/08/14  小笠原旅行  3日目

起床
 天気曇り、波が高い。 テレビの天気予報によると小笠原に接近中の熱帯低気圧は台風になったらしい。 今月入ってから毎日小笠原の天気を気にしていたが先週までずっと晴れていただけに悔しい。 朝食を済ませ部屋で荷物の整理をしていたところ島の防災放送が入った。 これから海の状態が悪くなるため16日のははじま丸が欠航する確率が高く、16日の接続するおがさわら丸に乗る人は必ず 今日の船で父島に移動するように言っている。 16日のははじま丸はまさに自分が乗る船である。 昨日30時間掛けて辿り着いたばかりだからいくらなんでも1泊で母島を後にするのはもったいない。 多少悩んでみたがその後父島に3泊するわけであり仮に船が出ずに1日くらい日程がずれても問題ないと判断した。 結局、16日に東京へ帰る予定の一人を除いて宿の全員が残留となった。 そうなると気が楽なものである。 さて気を取り直して今日の計画を決めよう。


すっきりしない天気。

台風に備え漁船は陸揚げされていた。


乳房山へ
 波が高いためとりあえず海に入るのは無理そうである。 海がだめなら山がある、それが小笠原のいいところである。 数人で誘い合わせて乳房山に登ることにした。 標高463m、小笠原諸島の中では最高峰である。 いかにも母島らしい名前の山である。 昼食と飲み物を持ったら出発した。 朝9時ちょうど、宿から歩いて10分もしないうちに登山口に到着。 登山道入り口の看板を通り過ぎるといきなり南国の植物に囲まれた。 本州の山とは明らかに植生が違う。 シダ類、常緑の広葉樹がどこまでも続く。 足元を見ると大きな巻貝の形をしたカタツムリやトカゲがたくさんいる。 登山道は良く整備されているため雨で多少ぬかるんでいるものの歩きやすかった。 しばらく歩いたら東屋が見えてきたためここで一休み。 ベンチに座り一息ついた瞬間、突然土砂降りの雨が降り出した。 これじゃ全く身動きでないな・・。 しかしこれも南国特有、スコールは5分もしたら止んだ。 次いつ降られるかわからないため雨が止んだら先を急ぐ。


登山道入り口。

南国を思わせる植物が生い茂る。

緑のトンネルが気持ちいい。

東屋で一休み。


珍鳥に遭遇
 小笠原は東洋のガラパゴスと呼ばれるように固有の生物が多く生息する。 特に母島には固有生物が多い。 ハハジマメグロ、ハハジマメジロのように「ハハジマ〜」と名前がついた鳥が生息する。 これらの鳥は母島であればどこでも見られるが、高々50km離れた隣の父島では全く見られないのが不思議である。 山道を歩いている最中、一人が道の上に生い茂る木の枝を指差した。 良く見ると大き目なカラスのような黒い鳥が一羽とまっていた。 あれひょっとして・・、観光案内所でもらったパンフレットを取り出し確かめてみると、母島で20匹も確認されていないという アカガシラカラスバトという鳥であることがわかった。 なかなかお目にかかれない天然記念物!しばらくの間、一同上を向き珍鳥との出会った感動を味わった。
 頂上から中間点にガジュマロの大木が生えている場所がある。 ガジュマロは外来種で熱帯から亜熱帯地域に生息する植物である。 防風林など人間の手で植えられることが多く、ガジュマロが生えているところはかつて人が住んでいた証である。 こんな場所にも人が住んでいたのか。 ガジュマロのトンネルをくぐり先へと進む。 7合目を越したあたりから完全の雲の中に入ってしまい景色は全く見えなくなってしまった。 10時半、乳房山頂上に到着。


天然記念物がとまっている。

ガジュマロの前で記念撮影。

完全に雲の中に入ってしまった。

山頂到着。


すぐに下山
 相変わらずガスっていて景色は全く見えない。 本来ならば360度の展望を楽しめるはずなのだが・・。 ここで一つやらねばならない作業がある。 登山の前に観光協会で乳房山登山キットなるものを200円で買ってきた。 キットには自然ガイドと登山コースガイドの他に無地の紙とクレヨンが入っている。 クレヨンと紙であるが、山頂の看板に据え付けれられたレリーフの拓を取るためのものである。 これが登頂を証明するものであり、後から乳房山登頂記念証なるものを発行してくれる。 記念になるものなので丁寧に拓を取った。 景色が見えない以上、頂上にとどまる理由が無いため一休みしたら下山開始。 徐々に高度を下げていくと視界が開けるようになってきた。 山のはるか下に小さな集落がある。 母島唯一の集落で全人口約400人が住む。 尾根を歩くと集落とは逆側に断崖と青い海が広がっている。 景色の良い場所で昼食を取った。 あとはひたすら下山、12時半登山口に到着。


レリーフの拓を取る。

島の反対側、切り立った崖である。

景色の良い場所で昼食を取ることにする。

人口約400人、母島唯一の集落。


憧れの海へ
 宿に戻ったところ耳寄りの情報を手に入れた。 台風接近で波が高くどこの海水浴場も入れない状態であるが唯一入れる場所があるらしい。 南からの波を受けない場所、島の最北端にある北港である。 宿からは10km程度あるため原付をレンタルしていざ海へ。 山道を走ること30分弱、1本道の終点である北港に到着した。 深い入り江になっているため他の海岸と同じ海と思えないほど凪いでいる。 海だ!久しぶりの海だ!(と言っても先月八丈島で泳いでいるが・・) ゴーグル、スノーケル、フィンを装着、あとはデジカメを持って海へ飛び込んだ。 水は適度に温かく驚くほど透き通っている。 海面から見下ろす限りサンゴ礁が続いている。 色とりどりの魚が泳ぎまわっている。 これが小笠原の海か〜、幻想的な風景にうっとり。 後は時を忘れてデジカメのシャッターを切り続けた。 3回エントリーし合計2時間はたっぷりと海中散歩を楽しんだ。 朝は山に登ったことだしさすがに疲れてきた。 4時半ごろ撤収し宿へ向けて出発した。
 夕食を食べ、今晩も昨晩とは違う飲み屋に繰り出す。 まだ皆と会って2日目、旅行体験談などに話が咲く。 疲れているにもかかわらず宿に戻り再び酒をつまみに話を咲かせる。 夜2時前にお開きとなる。今晩は良く眠れそうだ。


入り江になった北港に到着。

サンゴ礁を魚が泳ぎ乱れる。

青い海の中をさまよう。

サンゴのじゅうたんが広がる。